リノベーションは中古物件を購入して行われることが多くなっていますが、中古物件にはものによって法律に適合しないものもあります。新築時には基準を満たしていたものの、法改正によって違法建築物となってしまった物件もありますが、これを既存不適格建築物と呼びます。基準を満たしていないものの建て替えや大規模修繕までは改善を猶予された状態となりますので、いずれは基準を満たす必要があります。建築基準法には様々な基準が決められていますが、改修により修繕できるものとできないものがあります。
建ぺい率や容積率、高さの制限に関しては建物形状を変えなければ対応できませんし、耐震性能に関しては補強工事が必要となります。マンションなどの規模の大きな建物は、耐震性能を高めるためには建て替えたほうが効率が良い場合もあるため、耐震性能が不足する物件はリノベーションには適していないと言えます。極端に古いマンションに多いと言えますが、現在の耐震基準で設計されていれば不安は少ないと言えます。新耐震基準は1981年が目安となってきますので、それよりも古い物件は慎重に選ぶ必要があります。
マンションによっては基準以上の性能を確保した設計が行われている場合もありますので、構造に詳しい建築士に意見を求めることも必要です。古い物件ほど安く購入できますが、既存不適格建築物では大規模修繕の費用が割高になる場合もありますし、場合によっては改善ができずに修繕も行われない事があります。リノベーションのための物件には、最低限の基本性能を確保する必要があります。